しぐさで表現、弾む育児 ベビーサインで赤ちゃんと会話

ぱちっ、ぱちっ――。次男の直太郎君(2)が1歳だったころ、突然、人さし指と親指を付けては離す動作をした。「鳥」を表すベビーサイン。「鳥がいるよ」と聞こえた気がして、「そうだね、鳥だよ」とサインを返した。長女を幼稚園に送った後の公園でのことだった。

 

 「ベビーサイン」とは、まだ言葉を話せない赤ちゃんとジェスチャーで会話すること。1990年代に米国で体系化された育児法だ。山下千春さん(34)は講師として、佐賀市高木瀬東6丁目で「Big star英語教室」を開く。

 

 佐賀市生まれ。英国で1年間、福祉ボランティアをしたのがきっかけで24歳で英会話教師に。赤ちゃんのレッスンも任された。だが、乳児に英語を聞かせても寝転がるだけ。親は納得して月謝を払うが、「これでいいのか。英語の前にコミュニケーションが必要では」と疑問を持った。そんな時、インターネットでベビーサインを知った。

 

 おっぱいをねだったり、「帽子」や「靴」を示して外出を求めたり。幅広い表現に驚かされた。語りかけにサインを加えるのがコツという。2008年にNPO「日本ベビーサイン協会」の認定講師になり、同時期に英語教師としても独立した。

 

 自分の教室や育児イベントなどで、約50組の親子を指導した。10月には佐賀市でベビーサインのサークルもつくる。

 

 赤ちゃんがサインを出した時の喜びは言葉にできないほどという。泣くのが減り、言葉が出るのも早くなるというが、「赤ちゃんの発達は人それぞれ」と押しつけはしない。3人の子どものうち、ベビーサイン育ちは一番下の直太郎君だけだ。

 

 「実は、一番の効果はお母さんが安心すること」。赤ちゃんが何を感じているのか、母親は思い詰めるほど不安で、手がかりが欲しい。その気持ちがわかるからこそ、気軽に勧める。「育児を楽しむツールだと思って」と。

 

(2011.10.11 asahi.comから転載)

 

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