小中高生の体力4年連続で向上

小中高生の体力や運動能力が4年連続で向上したことが、体育の日にあわせて文部科学省が公表した平成22年度体力・運動能力調査で分かった。各調査種目をポイント化した合計点では、過去13年間で、小中高生いずれも最高を記録。子供の体力は昭和60年ごろをピークに低下が指摘されてきたが、文科省は「確実に復調してきている」と分析。「ただピーク時には遠い」として、引き続き体力向上へ向けた取り組みを進めていく方針だ。

 

 調査は昨年5~10月に6~79歳の男女約6万8000人を対象に実施。このうち小中高生は約2万9000人で、50メートル走や立ち幅とび、ボール投げなど年齢や男女別に計52種目で体力・運動能力テストを行い、記録をポイント化した。

 

 結果は平成19年度以降、続いてきた向上傾向を今回も維持し、ポイントの総合得点は10年度以降、小中高の男女とも過去最高を記録。種目別でも昨年度横ばい傾向だった中学生女子の持久走や高校生女子の立ち幅とびなど4種目で向上傾向に転じるなど、52種目のうち32種目で向上した。特に中学生男子の50メートル走の平均記録は10年度より0・12秒速くなり7秒88。記録を取り始めた昭和39年度以降、過去最高だった平成3年度の7秒87に肉薄した。

 

 一方、体力水準が高かった昭和60年ごろと比較すると、中学生男子の50メートル走とハンドボール投げを除き、依然低い水準となっている。調査に当たった順天堂大の内藤久士教授(運動生理学)は「国や地域の取り組みの成果が出始めているが、ピーク時に比べれば低く、幼少期から運動を習慣化させることが重要だ」と指摘している。

 

 

■運動部活、若さ維持 経験有無で最大20歳差

 

 今回の体力・運動能力調査では、20歳以上の中高生時代の運動部活動経験と体力との関係についても調査した。その結果、中高ともに部活動をしていた人は、していない人に比べ、男女とも5~20歳程度、“若さ”を維持していることが分かった。

 

 調査では20歳から64歳の約2万8000人の体力や運動能力テストを行い、記録をポイント化。部活動経験を「中学・高校」「中学のみ」「経験なし」の3種類に分けて比較した。

 

 その結果、男女ともいずれの世代も「中学・高校」「中学のみ」「経験なし」の順にポイントが高く、その差は20~24歳が最も大きく、年齢が上がるにつれて小さくなっていった。

 

 さらに男子では「中学・高校」の45~49歳と「中学のみ」の35~39歳、「経験なし」の25~29歳がほぼ同じポイントとなっていた。文科省の担当者は「学生時代の継続的な部活動の経験が、その後の運動の習慣化につながり、生涯、高い水準の体力を維持するためには重要だ」と分析している。

 

(2011年10月10日 産経ニュースから転載)

 

 

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