合計特殊出生率 晩婚進み、止まらぬ少子化

2010年、1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率は、前年比0・02ポイント増の1・39でした。出生率は05年の1・26を底に、上昇傾向にあります。それでも現在の人口を維持するのに必要な2・07には遠く、今のペースでは少子化傾向に歯止めを掛けるのは難しそうです。

 ◇終戦直後は4・54
 合計特殊出生率は、世界保健機関(WHO)が「出産可能年齢」とする15~49歳の女性の出生動向を見るもので、日本は長期減少傾向にあります。終戦直後の47年は4・54でしたが、第2次ベビーブーム(1971~74年)後の75年以降はずっと2・00を下回り、全体の出生数も減り続けています。

 同出生率を算出するには、まず年齢別出生率を計算します。例えば30歳の人が10年に何人子どもを産んだかを調べ、30歳の女性人口数で割れば、30歳の出生率が出ます。14歳以下の女性が産んだ子どもは「15歳」女性の出産とみなし、50歳以上の女性が産んだ子どもは「49歳」女性の出産とします。

 10年は25~29歳の出生率が0・4352、30~34歳は0・4847。これら15~49歳の年齢別出生率をすべて足し上げたものが合計特殊出生率です。詳しくは「期間合計特殊出生率」と言い、ここで出てくるものはこちらです。

 「期間」とは別に、同一年生まれ(コーホート)女性の各年齢(15~49歳)の出生率を過去から積み上げる「コーホート合計特殊出生率」もあります。「期間」は「その年」の動向を表すのに対し、「コーホート」は「その世代」の傾向を示します。「15~49歳」という年齢層のデータであるため、「特殊」という言葉が付きます。

 ◇第1子、29・9歳で
 少子化の原因として、晩婚化と、それに伴う晩産化が指摘されています。妻の平均初婚年齢は90年の25・9歳から10年の28・8歳へ、第1子出生時の母の平均年齢も27・0歳から29・9歳へと、いずれもこの20年間で約3歳上昇しました。

 90年、出産の中心は20歳代が担っていましたが、10年は30歳代に移っています。年齢が高くなれば出産の機会が少なくなりますから、晩産化が進めば1人の女性が産む子どもの数は減ります。近年の出生率の上昇傾向は、晩産化が定着し、1人目の出産を先送りしてきた30歳代のデータが反映され始めたことが一因ですが、夫婦2人で2人以上の子を持たないと少子化傾向は覆りません。

 未婚化も少子化の要因です。生涯未婚率は、90年には男性5・6%、女性4・3%でしたが、05年には男性16%、女性7・3%です。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、20年には男性26・0%、女性17・4%に達します。

 さらに「母親」の数も減っています。10年の15~49歳の女性人口は2649万人で、前年より3万9000人減りました。90年は3145万人でしたから、20年間で約15%、496万人も減少しています。10年後はさらに180万人以上、20年後には600万人近く減ると推計されています。10年に約107万人だった出生数も20年後には70万人を割り込む見通しです。1人当たりの出生率が少々増えたくらいでは、総出生数は伸びないのです。

 05年、日本は死亡数が出生数を上回る「人口減少社会」に突入しました。第2次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア」が40歳代になるまでの間が出生数や出生率回復の最大のチャンスと言われてきましたが、団塊ジュニアは今年、40歳にさしかかります。

 なお、他国の合計特殊出生率は▽韓国1・22(10年)▽アメリカ2・01(09年)▽フランス2・00(10年)▽ドイツ1・38(08年)▽イタリア1・41(同)スウェーデン1・91(同)▽イギリス1・90(07年)--などです。

(2011年6月16日 毎日新聞から転載)
 

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