35人学級も一定の成果? 「小1プロブレム」解消に

小学1年生を1クラス40人から35人に引き下げる法律改正案が、国会で修正のうえ、可決・成立しました。これにより、正式に35人学級となりました。1年生をお持ちの保護者の方々、お子さんのクラスの様子はいかがでしょうか? もちろん、すでに多くの自治体で独自に定員の引き下げを行ってきましたし、実際、9割以上の学級が35人以下になっていました。ですから、あまり変化は感じないかもしれません。でも、やはり1クラスの人数を引き下げることは、一定の効果があるようです。そんな結果が、東京都教育委員会の報告書からうかがえます。


東京の公立学校は、ほかの道府県が35人学級などを導入しても、長らく40人学級のままでした。しかし、新入生が小学校や中学校の生活になじめない「小1プロブレム」「中1ギャップ」が問題化したことから、昨年度から3年間、実験をしてみようということになりました。一部の学校を対象に、先生の数を増やして、小学1・2年生と中学1年生の学級定員を引き下げるか、チームティーチング(TT)で先生を2人配置するか、どちらかを選べるようにして、効果を検証しようというものです。


実験1年目で、しかも初年度は39人学級という限定的な引き下げではありましたが、実験の結果、実験校での「小1プロブレム」発生率は9.4%と、ほかの学校の10.3%に比べて、ほんの少しだけですが低くなりました。


特徴的なのは、問題の発生や解決の時期です。実験校では、9割が4月に問題が発生し、そのうち3割の学校では6月までに解決しています。それに対してほかの学校では、5月以降の発生も3割ほどあり、当然、その解決も長引くことになります。もっとも、調査した11月の時点で問題がおさまっていない学校が、実験校で60.0%、ほかの学校で56.6%と、むしろ実験校のほうが上回っていますので、先生を増やしたほうが効果があるとまでは言い切れません。しかし、1クラスの人数を少なくしたり、複数の目でクラスを見たりすれば、早め早めに手が打てるということは言えそうです。

実際、実験校では、「授業中に突然立ち上がるなど、じっとしていない児童」「授業中に勝手に教室の中を立ち歩く児童」「授業中に教師の指示とは異なる活動をする児童」などの状況が、5月以降、急速に改善されています。さらに、外部の目で観察・評価したところ、1クラスの人数が少ないほど、5月に比べた11月の改善状況が良かったといいます。

もちろん「荒れる学級」の原因には先生の指導力不足などもありますから、学級定員を引き下げさえすれば問題が全部解決するとは一概には言えません。しかし、学力向上のためにも、まずは落ち着いた環境で学べるようにすることが不可欠です。多くの実験校では、子どもの生活習慣や学習習慣を確立させることに、手ごたえを感じていました。まずは一人ひとりに目が届くようにすることが最低条件のようです。


(2011年5月12日 産経ニュースから転載)

 



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