新年度の授業どう変わる 小学校では教科書厚く

もうすぐ新学期が始まります。2011(平成23)年度は、いよいよ小学校で新しい学習指導要領が全面的に実施となります。

小学校ではこれまで2年間にわたって、新しい指導要領へとスムーズにつなげるための「移行措置」として、各学年で授業時間を週1コマ増やし、教科書とセットの「補助教材」などを使って、学習内容などを先取りしていました。新学期からは、さらに1~4 年生で国語の授業が増えます。また、3・4年生では体育が週3コマ(移行措置時は2.6コマ)になります。一方、「総合的な学習の時間」(3年生以上)は週2コマに減少。5・6年生には本格的に「外国語活動」が入るのも注目です。

ところで、増えた授業時間でどんな学習をするのでしょうか。内容が増えるだけではありません。ただ知識を覚える(習得)だけでなく、覚えた知識を使って考え、話し合い、討論したりレポートにまとめたり、場合によっては劇にしてみる、というような活動(活用)、あるいは、そこから自分で調べてみたいことを調べてみる(探究)、といった、さまざまな活動を展開することにしています。いろいろ考えなければ解けない、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB 問題が、すらすら解けるような勉強だと思えばよいでしょうか。

教科書も厚くなります。子どもたちには重くて大変かもしれませんが、教える側の先生にとっても、以前のようなペースで、教科書に書いてあるとおりに教えていくわけにはいきません。軽重をつけながら使いこなし、子どもたちに着実に学力をつけるような授業を工夫することが求められます。腕の見せどころと言えるでしょう。

また、1年生では「スタートカリキュラム」が行われます。入学後も幼稚園や保育園での感覚からなかなか抜け出せず、小学校の授業になじめない「小1プロブレム」を解消するために行われるもので、最初は生活科を中心にして、国語や音楽、図工などの活動を取り入れながら、徐々に教科別の授業に慣れさせようというものです。

さて、中学校では、新指導要領の全面実施まで、あと1年あります。移行措置の3年目では、3年生の理科が週1コマ増えて、2年生の時と同じ週4コマになります。代わりに選択教科の時間が減ります。1年後には小学校と同じように、「習得」「活用」「探究」の学習活動が本格的に始まりますから、そのための試行も、徐々に本格化することでしょう。

このように、新指導要領では、授業じたいが大きく変わります。内容が増えるのも確かですから、全員が授業についていけるかどうか、ちょっと心配です。お子さんの通う学校では授業がどう変わるのか、保護者会などで十分説明をしてもらうとよいでしょう。

このたびの被災地でも、子どもたちが落ち着いた環境で勉強できるよう、一日も早い復興を願ってやみません。

(2011年4月4日 産経ニュースから転載)