新生児にオリジナル絵本 「語りかけ」のきっかけに

◇来月から、尼崎で子育て支援

 子育て支援をする尼崎市立すこやかプラザは4月から、無料で市内の全新生児にオリジナル絵本をプレゼントする「ブックスタート」事業を始める。指定管理者のNPO法人「子どものみらい尼崎」が絵本を作り、生後2カ月の赤ちゃんを保育士が訪問する市のこんにちは赤ちゃん事業の際に手渡す。浜田格子理事長は「まだ言葉を話せない赤ちゃんにも、気持ちを込めて語りかけることが、心や言葉の発達に重要。絵本がそのきっかけになれば」と話している。

 

ブックスタートは、絵本が赤ちゃんと心を通わすきっかけになればと、92年に英国で始まり、日本でも01年から始まった。NPO法人ブックスタート(東京都新宿区)によると、現在は全国の4割にあたる752の自治体で実施されている。

 

尼崎市では、09年は4194人の新生児が誕生。これまでは、生後9~10カ月検診の時に、ボランティアが絵本の読み聞かせをしていた。

 

オリジナル絵本「とんとんとん」は、浜田理事長と絵本作家・森義孝さんが作った。色彩豊かで、「とんとんとん、遊びましょ」とドアをたたくと、ダンゴムシやスズメなどが「はーい」と元気よく返事をするストーリー。親が絵本を読みながら、赤ちゃんに言葉を掛けやすいよう工夫した。

 

浜田理事長によると、子育てに疲れた母親ほど、赤ちゃんに声をかけるのが苦手で、無言でオムツを替えたり、テレビを見ながら授乳することもあるという。絵本には、読む大人も楽しめるよう、絵の細部に仕掛けをしており、浜田理事長は「お母さんが笑顔になって、子どもにも連鎖反応が生まれれば」と話す。

 

(2011年3月24日 毎日新聞から転載)