小中一貫の英語教育 成果

金沢市が英語の小中一貫教育で成果を上げている。中学卒業時に英検3級レベル以上の生徒が5年間で倍増した。

 同市は2004年、国から「小中一貫英語教育特区」の認定を受け、全市立小、中学校で一貫指導に乗り出した。小学校で英語を本格的に教えるのは3年生から。毎週1時間、3~5年生は市独自の副読本で、「聞く、話す」から始め、段階的に「読む、書く」を学習。6年生は中学1年の教科書を前倒しして学ぶ。

 授業は、市教委が雇った英語インストラクターが、担任教師とペアを組んで実施。インストラクター46人のうち44人は日本人。海外生活などを経験し、日英両語に通じている強みを生かして、担任と息のあった授業を目指す。

 明成小学校で11日に行われた4年2組の授業。担任の谷田遥教諭(25)が英語で「田中先生はどこにいますか」と尋ねると、「ヒー・イズ・イン・ザ・スタッフルーム(彼は職員室にいます)」と、元気な声で答えが返ってきた。すかさず、インストラクターの川瀬薫さん(36)が「パーフェクト!」とほめた。

 中川響君(10)は「英語が話せてうれしい。もっと話せるようになりたい」とほほ笑む。

 毎年、市立中の3年生が受検する「英語能力判定テスト」(日本英語検定協会主催)では、英検3級相当以上の生徒が、04年度の22・5%から、09年度は42・5%に倍増。市教委は「小中一貫の指導が効果を上げている」と胸を張る。

 新年度から全国の小学校で英語が必修化されると、中学校の英語教育と、どう接続させていくかが課題になる。その意味で、同市の取り組みから学ぶことは多そうだ。

(2011.1.20  読売新聞から転載)