「わが子は国際学校へ」…早期英語教育に親注目

学生時代に海外留学を経験した日本人の親たちの世代で、早期英語教育熱が高まり、わが子をインターナショナルスクール(国際学校)へ通わせる例が目立ち始めている。

 国際学校は学校教育法上、小中学校として認定されないため、多くの小学生が地元の学校に籍を置きつつ通う“二重学籍”となっている。最近は英語に加え、中国語や高度な計算なども学べる中国やインド学校も関心を集めている。

 大阪府大阪市浪速区の大阪中華学校では、中国語と英語を学べる。10年前はほとんどいなかった日本人児童が、今では小学校低学年を中心に約50人。全校生徒の約2割を占める。

 東京都武蔵野市のインド人学校「リトルエンジェルス学園」は、幼稚園児と小学生計約120人のうち約8割が日本人。英語と2桁かけ算などインド式をベースにした算数、パソコンも教える。長男(8)を通わせる埼玉県白岡町の川嶋加名代さん(44)も中高生時代、米国留学した。「英語を話せて当たり前の時代が来る。インドは数学が優秀なイメージで、両方学べるのがいい」

 小学生の多くは、住民票に基づいて自動的に地元校に籍が振り分けられるため、国際学校に通う子どもは事実上、籍が二つあることになる。しかし国際学校は卒業しても学校教育法上、小中の卒業資格はなく、文部科学省は「厳密には就学義務違反」とする。

 このため長男が国際学校に通う大阪市内の母親(44)は「卒業証書をもらうため、地元の小学校にも年数日は通わせている」と明かす。

 こうした例は多いとみられるが、同省も実数は把握できておらず、「想定外」という。市町村教委や学校が保護者に通うよう指導することもあるが、それも校長の裁量次第。

 籍だけを置く児童のケースを扱ったことがある大阪市立小の校長は「少しでも学校に来るよう説得し、新しい教科書は届けるようにしていた。しかし、きちんと保護者が国際学校に通わせているならば、親の教育方針でもあり強くは言えない」という。

 国内でのインターナショナルスクールに飽きたらず、早くから海外へ出る子どもも少なくない。

インターナショナルスクール

 授業時間や校舎面積など一定の基準をクリアして都道府県に認可された「各種学校」と、それ以外の「無認可校」に分かれる。各種学校は学割も使え、5月1日現在、全国に125校ある。大半は朝鮮学校で、29校が英語中心、中国系は5校。無認可校数は不明。


(2010年12月29日  読売新聞から転載)